「終わらせない投資」──出口戦略のもう一つの選択肢
投資というと「どれくらい増えるか」に目が行きがちですが、 本当に大切なのは「どう終わらせるか」です。
利益が出たら売却して終える人もいれば、 配当金や分配金を受け取りながら運用を続ける人もいます。 どちらが正しいわけではなく、目的によって選ぶ出口は変わります。
用途が決まっている場合は「売却して終える」出口しかありませんが、売却せずに「終わらせない出口」という選択もあります。
このコラムでは終わらせない出口のメリットとデメリットについてわかりやすく解説していきます。
■ 出口を「終わらせない」という考え方
■ 出口を「終わらせない」という考え方
投資を始めるときには、どのように終わらせるかを考えておく必要があります。
「○%増えたら売却しよう」「○万円増えたら利益を確定しよう」──そんな終わらせ方もあれば、 「インカムゲインを受け取り続け、資産はそのまま子どもに残す」という方法もあります。
この後者の考え方が、いわゆる“終わらせない出口”です。 目的やライフステージによっては、 「売却して利益を確定する出口」よりも「終わらせない出口」のほうが合っている場合もあります。
たとえば、生活費を補填したいときや、 自分の死後も家族の生活を支える資産として残したいときは、 “終わらせない”ほうが安心につながることも少なくありません。
投資の出口に“正解”はありません。 大切なのは、自分の目的と価値観に合った終わらせ方を選ぶこと。 そして、「終わらせない」という選択肢も、立派な出口戦略のひとつなのです。
■ インカムゲインの魅力と注意点
■ インカムゲインの魅力と注意点
資産を売らずに持ち続けることで得られる利益をインカムゲインといいます。 株式の配当金、投資信託の分配金、不動産の家賃収入──これらはすべて、 「持ち続けることで得られる収益」です。
- 毎月・毎年の配当金や分配金を生活費やゆとり資金に回す
- 相場に左右されずに定期的に収入を得る
- 売らずに保有することで複利を活かす
インカムゲインは相場に左右されにくく、自分でコントロールしやすい継続型の仕組みといえます。 ただし、注意も必要です。
- 「高配当=良い銘柄」ではない(業績や減配リスクに左右される)
- 分配金型の投資信託は、元本を取り崩しているだけ場合もある
- 為替や税金の影響で手取りが変動することがある
大切なのは、「増やす投資」ではなく「維持して支える投資」として位置づけること。 “使いながら守る”という視点が、インカムゲインの本質です。
■ もう一つの“終わらせない出口”──資産をつなぐ継承戦略
■ もう一つの“終わらせない出口”──資産をつなぐ継承戦略
もうひとつの「終わらせない出口」は、資産を次の世代に引き継ぐことです。 これは、現金化ではなく「形のままつなぐ」考え方です。
- 親が配当や優待を楽しみながら資産を維持する
- 子が同じ資産を引き継ぎ、運用を続ける
- 法人化や贈与設計で、税負担を抑えながら継承する
このような設計をしておくことで、 単なる「相続」ではなく、世代を超えて資産を生かすライフプランが実現します。こうした“終わらせない継承”は、 お金を「残す」だけでなく、想いを受け継ぐ仕組みでもあります。
また、「元気なうちに子どもへお金を渡すこと」に抵抗を感じる人も多いでしょう。 その場合も、資産を保有したまま引き継ぐ形を検討するのがおすすめです。 ただし、相続税が高くなるケースもあるため、 具体的な金額をシミュレーションして判断することが重要です。
■ “終わらせない”という柔軟な選択
■ “終わらせない”という柔軟な選択
「終わらせない出口」は、すべての人に向いているわけではありません。 ただ、人生のどこかで「続ける」選択が心地よい人もいる──その余白が大事です。
- 老後の生活費をゆるやかに補うための“続ける投資”
- 家族に安心を残すための“引き継ぐ投資”
- 相場に左右されず、心の安定を保つ“守る投資”
お金を「増やす」ことに疲れたとき、 「続ける」「残す」という出口が、自分らしいゴールになることもあります。
【まとめ】出口は一つではない
【まとめ】出口は一つではない
投資の出口は「売る」だけではありません。 持ち続ける、受け取りながら生かす、次に渡す──どれも立派な選択です。
大切なのは、自分が何のために資産を持ち、どう使いたいのか。 その意図に合わせて“終わらせ方”を選ぶこと。
「終わらせない」という柔軟な出口も、 あなたの人生を支える選択肢のひとつかもしれません。
