金(ゴールド)はどこまで上がる?“不確実な時代”を守り抜く資産防衛戦略
金(ゴールド)が史上最高値を更新し続けています。
2025年現在、この急騰は一時的なバブルではなく、世界経済が過去数十年にわたり築いてきた構造そのものが変化しているサインです。
インフレ、地政学リスク、脱ドル化――こうした流れは一過性ではなく、金が改めて「資産防衛の中心」に位置付けられる時代へと変わりつつあります。
本コラムでは、
- 金価格が高騰する3つの理由
- 2025年以降の相場展望
- 金投資に潜む注意点
- FPとして推奨できる“失敗しない金投資戦略”
を読みやすくまとめました。
■ なぜ金(ゴールド)が買われ続けているのか?
■ なぜ金(ゴールド)が買われ続けているのか?
金(ゴールド)の高騰には、短期的な材料ではなく、後戻りできない構造変化が存在します。
世界中で“お金が増えすぎている”
政府支出の拡大と金融緩和により、世界の通貨供給量は過去最大規模になっています。
通貨の量が増えるほど、一単位あたりの価値は薄まります。
一方、金(ゴールド)は人工的に増やすことができず、希少性は揺るぎません。
つまり、「通貨の価値が下がる → 相対的に金(ゴールド)の価値が上がる」という、極めてシンプルな構造が続いています。
止まらないインフレと“資産の防衛”
物価上昇が続くと、現金や預貯金の価値は自然と目減りします。
そこで投資家は、古くからインフレに強い資産として実績のある金(ゴールド)へ資金を移し替えています。
特に2023〜2025年は世界的なインフレが長期化し、「現金より金(ゴールド)で持つほうが安全」と考える人が増えています。
国家レベルの「脱ドル化」と中央銀行の金買い
中国、ロシア、中東諸国など、各国の中央銀行はこれまで以上に積極的に金(ゴールド)を買い増しています。
背景には、米ドルへの信頼低下、地政学リスクの高まり、国家としての資産防衛などの長期的戦略があります。
この“国家の買い”は量が桁違いのため、金価格の強固な下支えとなっています。
■ 今後の金価格とリスク
■ 今後の金価格とリスク
金相場は今後もしばらく高値圏で推移し、さらなる高値を目指す可能性が高いと考えられます。
今後の価格を支える3つの要因
- 利下げ局面が金の追い風になる
FRBが利下げに向かえば、利息のない金(ゴールド)の魅力が相対的に高まります。
これは金利が下がると、銀行預金や債券から得られる利息が減り、利息が付かない金(ゴールド)を持つことのデメリットが相対的に小さくなるためです。
- 供給が増えない構造が続く
金(ゴールド)の新しい鉱山が見つからず、採掘コストも上昇。
需要だけが増え続けます。
- 地政学リスクの慢性化
世界情勢の不安は簡単に収まらず、安全資産としての金需要が継続します。
金投資のリスクと注意点
金(ゴールド)は「絶対に下がらない資産」ではありません。
短期的には大きく揺れ動くこともあります。
- FRBの予想外の利上げ
金利が急上昇した場合、金価格は一時的に大きく下落する可能性があります。
- 為替(ドル/円)の変動リスク
金(ゴールド)の国際価格はドル建てです。
日本円で金(ゴールド)を買っている場合、急激な円高が進むと、国際価格が変わらなくても円建ての金価格は大きく下落します。
- 大規模紛争の急な沈静化
地政学リスクが解消した場合、「有事の金」需要が剥落します。
長期保有を前提に、短期の値動きに振り回されない姿勢が重要です。
■ 失敗しない金(ゴールド)投資の戦略
■ 失敗しない金(ゴールド)投資の戦略
急上昇を続けている金(ゴールド)ですが、本来は「増やす資産」ではなく、守る資産として位置付けるのが正しい使い方です。
資産全体の5〜10%を目安に組み込む
金(ゴールド)を増やしすぎると、利息も配当もないため、資産の成長スピードが鈍ります(結果的にこの10年程度は急成長していますが)。
一方で、金(ゴールド)を全く持たないと、インフレリスクや地政学リスクに対して弱くなります。
そのため、「総資産の5〜10%を金に配分する」というシンプルなルールが推奨です。
金(ゴールド)は株式や債券と異なる値動きをするため、ポートフォリオ全体の変動を抑えるクッション役を果たします。
買い時を悩むなら積み立てがおすすめ
金価格は変動が激しいため、「今は高いから買うべきではない?」という迷いがつきまといます。
そこで有効なのが積み立て(ドルコスト平均法)です。
高い時期は少しだけ買い、安い時期には多く買えるため、結果として平均取得価格が安定し、高値掴みを避けることができます。
■ 【まとめ】ポートフォリオの見直しが10年後の安心を作ります
■ 【まとめ】ポートフォリオの見直しが10年後の安心を作ります
金(ゴールド)の高騰は一時的なバブルではなく、世界の金融構造そのものが変化しているサインです。
通貨価値の下落、インフレの長期化、地政学リスク、主要国の脱ドル化――こうした大きな流れが続く限り、金(ゴールド)の重要性は今後も高まるでしょう。
そして最も大切なのは、金(ゴールド)を「増やすため」ではなく「守るため」に持つという考え方です。
あなたの資産ポートフォリオに、金(ゴールド)は適切な割合で組み込まれているでしょうか?
不確実な時代を生き抜くために、いま一度、資産のバランスを見直してみてください。
