親が老人ホームに入った後、実家は貸す?家賃収入・税金・相続のポイント
公 開 日:2025年05月22日
最終更新日:2026年8月26日
親が老人ホームに入り、実家に誰も住まなくなると「そのまま空き家にしておくのはもったいない」と感じることがあるかもしれません。
そこで考えるのが、実家を誰かに貸して家賃収入を得る方法です。
うまく貸すことができれば、固定資産税など実家の維持費を家賃で補ったり、親の生活費に充てたりすることができます。
一方で、家賃の全てがそのまま手元に残るわけではありません。
修繕や管理にお金がかかり、一度貸すことで実家を自由に使いにくくなることもあります。
さらに、相続税や将来の実家の扱いにも関係します。
この記事では、親が老人ホーム入所後の実家を貸すと本当にメリットがあるのか、実際に確認したいポイントを順番に整理します。
この記事でわかること
この記事でわかること
- 老人ホーム入所後の実家を貸すメリット
- 実家を貸すのが向いているケース
- 家賃収入から実際に残るお金の考え方
- 親が自宅へ戻る可能性がある場合の注意点
- 実家を貸すと相続税が安くなるのか
- 年金を受け取っている親の確定申告
実家を貸すメリットは「家賃が入る」だけではない
実家を貸すメリットは「家賃が入る」だけではない
家は、誰も住んでいなくても所有している限り固定資産税や火災保険料がかかります。
建物の状態を保つためには、定期的な管理や修繕も必要です。
実家を賃貸に出すことができれば、家賃収入をこうした維持費に充てることができます。
家賃が維持費を上回れば、その分を親の老人ホームでの生活費などに使うこともできます。
また、人が住んでいることで、水漏れや設備の故障など建物の変化にも気づきやすくなります。
「まだ実家を手放したくないけれど、何年も空き家にしておくのも心配」という家庭にとっては、賃貸が一つの活用方法になります。
実家を貸すのが向いているのはどんな家庭?
実家を貸すのが向いているのはどんな家庭?
実家を貸すことが向いているのは、次のような場合です。
- 今すぐ実家を手放す予定はない
- 親が実家へ戻る可能性が低い
- 将来、家族が実家を使う可能性があるため残しておきたい
- 大きな修繕をしなくても貸せる状態にある
- 周辺に賃貸需要があり、ある程度の家賃が見込める
- 維持費などを差し引いても家賃が残る
反対に、数年以内には実家を手放すつもりだったり、貸すために大きなリフォームが必要だったりする場合は、賃貸による収入だけで判断しない方がよいでしょう。
特に大切なのは、「いくらで貸せるか」より「貸したあと、いくら残るか」です。
家賃ではなく「実際に残るお金」を確認する
家賃ではなく「実際に残るお金」を確認する
たとえば、月8万円で貸せる実家なら、年間の家賃収入は96万円です。
数字だけを見ると魅力的ですが、そこから実家を貸すための費用が出ていきます。
- 固定資産税
- 火災保険料
- 管理会社へ支払う費用
- 設備の修理や交換費用
- 入居前の修繕やリフォーム
- 入居者がいない期間の負担
- 家賃収入にかかる税金
賃貸に出す場合は不動産会社に管理を依頼するのがおすすめです。
実家の管理だけなら素人でもできないことはありませんが、入居者との契約、細かい修繕のやりとりなど、管理費用をかけてでもプロに任せるのが無難です。
また、給湯器や暖房設備などが故障すれば、まとまった修理費が必要になることもあります。
そのため、賃貸を検討するときは、
年間の家賃収入-維持費・管理費・修繕費・税金=実際に残るお金
で考えます。
いくらで貸すのが妥当かわからないときは不動産会社へ相談するとよいでしょう。
そのときに家賃査定だけではなく、「貸す前にいくら修繕が必要か」「毎年どのくらい費用がかかりそうか」まで確認しておくと判断しやすくなります。
親が実家へ戻る可能性がある場合は?
親が実家へ戻る可能性がある場合は?
親が老人ホームに入ったばかりで、今後も施設で暮らすのか、実家へ戻る可能性があるのか分からないこともあります。
その状態で実家を貸すと、親が「やっぱり家へ戻りたい」と思ったときに、すぐ実家を使えないことがあります。
まだ今後の生活が決まっていない場合は、半年や1年など期間を決めて実家を残し、その後もう一度考えるとよいでしょう。
一定期間だけ貸す方法もある
親が実家へ戻る可能性は低いものの、「ずっと貸すつもりはない」という場合には、定期借家契約という方法があります。
定期借家契約では、あらかじめ決めた期間で契約が終了します。
数年間だけ実家を活用したい場合や、その後家族が使う予定がある場合には、不動産会社へ相談してみるとよいでしょう。
実家を貸すと相続税は安くなる?
実家を貸すと相続税は安くなる?
親が実家を貸したまま亡くなった場合、実家を貸していない場合より相続税が軽くなることがあります。
賃貸中の建物や土地は、入居者がいるため、所有者が自由に使える状態ではありません。
そのため、相続税を計算するときの評価額が低くなる仕組みがあります。
相続税がかかる家庭では、実家を貸すことが相続税の負担を減らすことにつながることがあります。
相続税がかからないなら、節税効果もない
ここで最初に確認したいのは、そもそも親の相続で相続税がかかるのかということです。
相続税には、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
という基礎控除があります。
親の財産がこの範囲に収まるのであれば、実家の評価額を下げても相続税は減りません。
相続税がかからない家庭であれば、相続税対策だけを目的に実家を貸す必要はありません。
相続税対策なら「貸した場合」と「貸さない場合」を比べる
老人ホームに入った親の元自宅は、条件を満たすと、小規模宅地等の特例によって土地の相続税評価額を大きく下げられることがあります。
一方、実家を第三者へ貸している場合は、賃貸物件として相続税の評価を考えます。
つまり、相続税対策として実家を貸すのであれば、
- 実家を貸さずに相続した場合の税額
- 実家を貸して相続した場合の税額
を比べることが大切です。
実際の税額が分かれば、「相続税対策として貸す意味があるのか」を判断できます。
参考:
国税庁|貸家建付地の評価
年金を受け取っている親の確定申告
年金を受け取っている親の確定申告
親名義の実家を貸した場合、家賃は原則として親の収入になります。
税金は家賃の全額ではなく、家賃などの収入から必要経費を差し引いた「不動産所得」をもとに計算します。
固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などは、内容に応じて必要経費になります。
公的年金を受け取っている親は、次の両方に当てはまると、所得税の確定申告が不要になることがあります。
- 公的年金等の収入金額が400万円以下
- 公的年金等以外の所得金額が20万円以下
この20万円は家賃の金額ではなく、必要経費を差し引いた不動産所得などで判断します。
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。
貸す前にここまで確認しておく
貸す前にここまで確認しておく
実家を貸すか迷ったら、次の項目を確認してみましょう。
- 親が実家へ戻る可能性があるか
- 今後、家族が実家を使う予定があるか
- いくらで貸せそうか
- 貸す前にいくら修繕費がかかるか
- 毎年の費用を引くと、いくら手元に残るか
- 相続税がかかる家庭なのか
- 貸した場合と貸さない場合で相続税はいくら変わるか
ここまで確認すると、「何となく空き家にしておくのはもったいない」という状態から、自分たちにとって賃貸する意味があるのかを判断しやすくなります。
実家を手放すことも考えている場合は、売却についてまとめた記事も参考にしてみてください。
Mクリニックで相談できること
Mクリニックで相談できること
Mクリニックは札幌を拠点に、家計、保険、住宅ローン、教育費、老後資金、資産運用、終活など、暮らしと将来に関わるお金を横断して相談できるFP相談窓口です。
親が老人ホームに入った後の実家についても、家賃だけを見るのではなく、実際に残るお金や親の今後の生活まで一緒に確認します。
たとえば、
- 実家を貸すか、そのまま残すか迷っている
- 実家を貸したら年間いくら残るのか整理したい
- 老人ホームの費用を家賃でどのくらい補えるか知りたい
- 相続税がかかる家庭なのか確認したい
- 実家を貸すことが相続税対策になるのか知りたい
- 将来売ることも含めて、今どうするか考えたい
といった相談があります。
必要に応じて、不動産会社を紹介して家賃・修繕費の確認をしたり、税理士を紹介して税額なども整理しながら、家計全体で考えていきます。
札幌を拠点にしていますが、全国を対象にオンラインでの相談にも対応しています。
まとめ|実家を貸すなら「家賃」より「手元に残るお金」を見る
まとめ|実家を貸すなら「家賃」より「手元に残るお金」を見る
親が老人ホームに入った後の実家を貸すことは、空き家を活用する方法のひとつです。
家賃で実家の維持費や親の生活費を補えるのであれば、貸すメリットがあります。
ただし、判断するときに見るのは家賃の金額だけではありません。
- 親が実家へ戻る可能性
- 貸すために必要な修繕費
- 毎年手元に残る家賃
- 相続税への影響
- 今後も実家を所有しておきたいか
を一緒に確認します。
「貸せる家だから貸す」のではなく、「貸した結果、家計や将来にメリットがあるか」で考えてみましょう。
2025年5月22日 執筆
2026年8月19日 更新
