保険は「入りすぎ」も「削りすぎ」もNG!FPが伝えたい見直しの本質
「保険の見直し」と聞くと、多くの方が「保険料を減らす」ことを思い浮かべるかもしれません。確かに、家計の見直しにおいて保険料の削減は効果の大きい項目です。しかし、見直しの目的が「安くすること」だけに偏ってしまうと、いざという時に役に立たない「意味のない保険」になってしまうリスクがあります。
このコラムでは、保険を見直す際に気をつけるべきポイント、よくある誤解、そして正しい見直しの考え方について保険に詳しいFP(ファイナンシャルプランナー)がわかりやすく解説します。
■ 見直しで大切なのは「保険料の削減」ではない
■ 見直しで大切なのは「保険料の削減」ではない
「見直し」と聞くと、どうしても「安くすること」が目的になりがちですが、保険の本質は「万が一の時の備え」です。必要な保障を確保しながらムダをなくすという視点が大切です。単なるコスト削減はリスクの増大につながりかねず、注意が必要です。
■ 保険料を下げる=必要保障が減っているかもしれない
■ 保険料を下げる=必要保障が減っているかもしれない
保険料を抑える代わりに、必要な保障額まで減ってしまうことがあります。
例えば、教育費・生活費をカバーするために3,000万円の死亡保障が必要なのに、1,000万円に減額してしまえば、家族が困るのは明らかです。
保険は単に「変更すれば正しくなる」というものではなく、「どんな保障を、どのくらい、いつまで必要とするのか」を丁寧に確認する必要があります。
■ 入りすぎもダメ、役に立たない保険もダメ
■ 入りすぎもダメ、役に立たない保険もダメ
必要以上の保険に入っている方も少なくありません。
たとえば特段の事情なく、新入社員が1000万円の死亡保険に加入するとしたら保障が過剰と言えるでしょう。 また、「医療保険で1日15,000円の入院保険金が出る」と聞くと安心感がありますが、高額療養費制度や勤務先の福利厚生でカバーできるところがあったり、入院自体が短期化して実用性が低い場合もあります。
ただし日額15,000円が必ずしも過剰とは限りません。「日額15,000円出たおかげでお見舞いにきてくれる家族の負担を軽減させることができた」など、具体的に「どういう役に立つか」まで含めて見直すことが重要です。
■ 保険の目的を明確にしよう
■ 保険の目的を明確にしよう
保険に入るとき、必ず「何のために加入するのか」をはっきりさせましょう。
「保険でお金を貯めたい」「保険で資産を増やしたい」という声を聞くことがありますが、それらは保険の“本来の目的”ではありません。たしかに、定期預金より利回りの高い保険もあります。しかし、「貯めたい」場合は流動性が高い預金のほうが使い勝手が良く、「増やしたい」なら投資の方が期待値が上です。
また、保険に「投資を兼ねた保障」を期待する方もいるようですが、一般的に投資をやめる場合は保険もやめなければならず、健康状態によっては保障を維持するために解約できないこともあります。結果として「投資もやめられない」状態になりかねません。
本当に必要な保障を、必要なタイミング・金額で持つ。これが保険の基本です。見直しの際は、この原点に立ち返って検討するようにしましょう。
■ 定期的なメンテナンスで「ちょうどいい保険」を保つ
■ 定期的なメンテナンスで「ちょうどいい保険」を保つ
保険は一度入ったら終わりではなく、定期的に見直し・メンテナンスをすることが前提です。ライフスタイルの変化やライフイベント(結婚・出産・住宅購入・定年など)に合わせて、必要な保障の種類や金額は変化します。
また、保険商品そのものも進化しています。同じ保障内容で保険料が下がるケースもありますし、同じ保険料でも保障内容が改善されていることもあります。
本来は、自分自身でどこの保険会社のどの商品が改定になったのか確認しなければいけませんが、こまめな情報収集が難しい方は定期的に担当者と連絡を取り、現在の保険が今のライフプランに合っているかを確認しましょう。放置したままでは、本当に必要なときに「使えない保険」になってしまうかもしれません。
■ 【まとめ】「ちょうどよく役立つ保険」を目指す
■ 【まとめ】「ちょうどよく役立つ保険」を目指す
保険の見直しでは「安くすること」ばかりに目が向きがちですが、本当に大切なのは「万が一に役立つこと」です。保障の金額・範囲・期間を適切に見極め、入りすぎず、削りすぎず、「ちょうどよく」持つことが理想的です。
保険は人生の変化とともに見直すべきものですが、その見直しはあくまで「保障の質」を高めるためのもの。安さだけを求めた結果、肝心な時に使えない保険にならないよう、信頼できる専門家と一緒に検討していきましょう。