ポイント運用とポイント投資の違い|暗号資産交換時の注意点も解説
日常の買い物やサービス利用で貯まるポイントを、ただ使うだけで終わらせていませんか?
近年は「ポイント運用」や「ポイント投資」を活用し、ポイントを資産のように増やす方法が注目されています。 特に、現金を使わずに投資の経験が積める点や、ビットコインなどの暗号資産に交換できるサービスが広がっていることから、初心者にも取り組みやすいのが魅力です。
ただしポイントが増えてくると、税金や確定申告について考えなければならなくなります。 この記事では、ポイント運用とポイント投資の違い、税務上の注意点、そして効率的にポイントを増やすための考え方を、専門的な視点で解説します。
■ 効率的にポイントを増やすための考え方
■ 効率的にポイントを増やすための考え方
ポイントを運用や投資に活用する際は、「獲得効率」よりも「ポイントの集約」を優先するのが効果的です。多少還元率が低くても、複数のサービスに分散させず、できるだけ1つのポイントにまとめたほうが、最終的に使えるポイント総額は増えやすくなります。
さらに、交換可能なポイント数に達したらできるだけ早く運用や投資に回すことがポイントです。貯めたまま放置するよりも、少しでも早く資産として動かすことで、増加のチャンスを得られます。
初めは増加額が数ポイント程度でも、元手となるポイントが大きくなるほど増えるポイントも加速度的に増えていきます。これは金融商品の複利効果と同じ仕組みで、長く続けるほど効果が実感できるでしょう。
■ ポイント運用とポイント投資の違い
■ ポイント運用とポイント投資の違い
ポイントを増やす方法としてよく耳にする「ポイント運用」と「ポイント投資」。似ている言葉ですが、仕組みやリスク、利益の扱い方は大きく異なります。まずはこの2つの違いを正しく理解することが、効率的なポイント活用の第一歩です。
ポイント運用
ポイント運用は、実際の金融商品を購入するのではなく、ポイントを使って疑似的に投資体験をする仕組みです。運用成績は市場の値動きに連動しますが、あくまでポイントが増減するだけで、現金の出入りはありません。 国税庁の見解(令和3年4月公表)では、ポイント運用によってポイントが増えても、その時点では課税対象にならないとされています。ただし、運用で増やしたポイントを現金や商品券に交換し、経済的利益を得た場合は課税対象になります。
ポイント投資
ポイント投資は、保有しているポイントを現金同様に使い、株式・債券・ETF・投資信託・暗号資産などの金融商品を実際に購入する方法です。運用の結果、売却益(譲渡所得)や配当金(配当所得)が得られる場合がありますが、下落すれば損失も発生します。取引は実際の市場で行われるため、利益は課税対象となり、年間の利益が一定額を超えると確定申告が必要です。
■ ポイント投資の税金と確定申告
■ ポイント投資の税金と確定申告
ポイント投資で得られた利益は、現金による投資と同様に課税対象です。例えば、株式や投資信託をポイントで購入し、売却益が出た場合は「譲渡所得」、配当金が出た場合は「配当所得」として扱われます。
上場株式や投資信託であれば原則、申告分離課税(税率20.315%)が適用されますが、配当所得は総合課税を選択することも可能です。
証券口座が「特定口座(源泉徴収あり)」であれば原則として確定申告は不要ですが、源泉徴収なしの口座や暗号資産などの場合は、年間の雑所得が20万円を超えると確定申告が必要になります(給与所得者の場合)。これはポイントで得た利益も同じ扱いです。なお、給与所得がない場合は20万円以下でも申告義務が発生する点に注意しましょう。
■ 暗号資産(ビットコインなど)に交換する場合の注意点
■ 暗号資産(ビットコインなど)に交換する場合の注意点
近年は、貯めたポイントをビットコインなどの暗号資産に交換できるサービスも増えています。国税庁の公表資料(「暗号資産に関する所得の計算方法等について」)によれば、暗号資産に交換した時点では課税されず、その後に売却や他の暗号資産に交換して利益が生じた時点で所得税(雑所得)として課税されることになっています。暗号資産の利益は総合課税の対象となり、給与所得などと合算されるため、所得が増える場合は高い税率が適用される点に注意が必要です。
また、ポイントから暗号資産へ交換した際の取得価額を正確に把握することがとても重要です。そのためには、交換日や価格の記録を残しておくことが必須です。国税庁は、暗号資産の損益計算や確定申告に役立つ「暗号資産用の計算書」を公開しています。この計算書を活用すれば、取得価額や売却益の記録といった申告に必要な情報を整理しやすくなりますので、ぜひご参照ください。
■ 【まとめ】ポイント運用・ポイント投資は税金にも注意
■ 【まとめ】ポイント運用・ポイント投資は税金にも注意
ポイ活というと「いかにポイントを稼ぐか」というイメージがありますが、頑張っても思ったほど貯まらないケースも少なくありません。そんなときはポイント運用やポイント投資にチャレンジすることで、獲得効率にこだわらなくてもポイントが増えていく可能性があります。特にポイ活に疲れた人にとっては、資産形成の一部として取り入れる価値があります。
元手となるポイントが少ないうちは増えたとしても大きな影響はありませんが、ポイントが多くなるほど、運用・投資による増加幅も大きくなります。そのため、早めにポイントのまとめ方や運用先の選定を行っておくことが重要です。
また、ポイント投資で利益が出た場合や、ポイントを暗号資産(例:ビットコイン)に交換して売却益が出た場合は課税対象となります。税金の計算では交換時の取得価額や売却履歴が必要になるため、日頃から記録を残しておきましょう。国税庁が公表している暗号資産の計算書などのツールを活用すれば、確定申告もスムーズに行えます。
「ポイントを増やす仕組み」と「税金のルール」の両方を押さえ、賢くポイントを育てていくことが、長期的な資産形成にもつながります。