2026.09.21
  • 資産運用

暗号資産(仮想通貨)の税金|売却時の注意点・国民健康保険・2028年の分離課税

公 開 日:2025年08月17日

最終更新日:2026年9月21日


ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)を長く保有していると、購入したときより大きく値上がりし、かなりの含み益になっていることがあります。

そこで考えたいのが、「いつ売るか」だけではなく「今年はいくら売るか」です。


2026年現在、個人の暗号資産取引による利益は原則として雑所得となり、給与など他の所得と合算して税金を計算します。

さらに国民健康保険に加入している人は、暗号資産の利益によって前年所得が増えると、翌年度の国民健康保険料が上がる可能性があります。


一方、暗号資産については2028年から一定の取引を申告分離課税とすることが想定されており、税制そのものも大きく変わろうとしています。

暗号資産で利益が出ているときは、単に「値上がりしたから売る」のではなく、利益の計算方法、毎年の取引管理、税金、国民健康保険料、今後必要になる資金まで含めて考えることが大切です。

この記事でわかること

この記事でわかること

  •  2026年現在の暗号資産の税金
  •  どのような取引で利益が発生するのか
  •  暗号資産の取引履歴を毎年どう管理するか
  •  大きな含み益があるときの売却額の考え方
  •  暗号資産の利益と国民健康保険料の関係
  •  2028年から想定されている分離課税

2026年現在、暗号資産の利益はどう課税される?

2026年現在、暗号資産の利益はどう課税される?

2026年9月現在、個人が暗号資産の売却などによって得た利益は、事業所得などに該当する場合を除き、原則として雑所得になります。

現在は株式などのような申告分離課税ではなく、給与所得や事業所得などと合算する「総合課税」です。


所得税は所得が増えるほど税率が高くなるため、同じ金額の暗号資産の利益でも、給与や事業など他の所得がどのくらいあるかによって税負担は変わります。

そのため、暗号資産を売却するときに見るべきなのは売却金額だけではありません。

その売却によって、その年にいくらの利益が確定するのか。

まずはここを確認する必要があります。

値上がりしただけなら「含み益」

たとえば100万円で購入した暗号資産が500万円になっていたとしても、保有しているだけであれば400万円は含み益です。

通常は、値上がりしただけで所得税が発生するのではなく、売却や交換などによって利益が実現したときに所得を計算します。

暗号資産はいつ利益が発生する?

暗号資産はいつ利益が発生する?

暗号資産は「日本円に換金したときだけ税金がかかる」と考えていると、取引を見落とす可能性があります。

主に次のような場面で所得が発生します。


  •  暗号資産を日本円などに売却した
  •  暗号資産で商品やサービスを購入した
  •  ビットコインからイーサリアムなど、別の暗号資産へ交換した
  •  マイニングやステーキングなどで暗号資産を受け取った

特に注意したいのが暗号資産同士の交換です。

日本円を受け取っていなくても、保有している暗号資産を別の暗号資産へ交換した時点で、元の暗号資産を譲渡したものとして所得計算が必要になる場合があります。


「現金化していないから利益は出ていない」とは限りません。

暗号資産の取引履歴は毎年整理しておく

暗号資産の取引履歴は毎年整理しておく

暗号資産で意外と大変なのが、売却するときの取得価額の確認です。

一つの暗号資産を何度も購入していたり、複数の取引所を利用していたりすると、売却する段階になって過去の取引をすべて確認するのは簡単ではありません。


そこで、取引が少ないうちから毎年記録を残しておくことが重要です。

国税庁では、暗号資産の所得を計算するための「暗号資産の計算書」をExcel形式で公開しています。総平均法用と移動平均法用があるため、自分が採用している計算方法に合わせて利用できます。

取引したら、その都度記録する

一年分を確定申告の直前にまとめるより、売買や交換をしたときにその都度記録しておく方が管理しやすくなります。


  •  取引日
  •  暗号資産の種類
  •  購入・売却・交換などの内容
  •  数量
  •  取引金額
  •  手数料
  •  利用した取引所

その年に売却しなかったとしても、翌年以降の取得価額を計算するために記録は必要です。

暗号資産を保有している間は、年ごとに区切りながら継続して管理しておくとよいでしょう。

取引所のCSVやPDFがそのまま使えるとは限らない

各取引所では、年間取引報告書や日毎、月毎にCSV、PDFなどで取引データを確認できる場合があります。

ただし、それをダウンロードして保存しておけば税金の計算が完成するとは限りません。


取引所によって項目やデータ形式が異なり、複数の取引所を利用していれば、それぞれのデータを一つにまとめる必要もあります。

場合によっては、取引所から取得したCSVを自分のExcelへ取り込み、必要な項目を整理したうえで国税庁の計算書へ反映するなど、自分なりの管理方法を決めておく必要があります。


数年分を後から整理するのはかなり大変です。

税金が発生してから準備するのではなく、暗号資産を保有している間から記録を作っておくことをおすすめします。

大きな含み益があるときは売却額を考える

大きな含み益があるときは売却額を考える

暗号資産に大きな含み益がある場合、選択肢は「全部売るか、売らないか」の二択とは限りません。

現在は総合課税なので、大きな利益を一度に確定させれば、その年の所得が増え、所得税や住民税の負担も大きくなる可能性があります。

すぐに全額を現金化する必要がないのであれば、何年かに分けて売却し、一年間に確定させる利益を調整する方法もあります。

「いくら売るか」より「いくら利益が出るか」

たとえば500万円分の暗号資産を売却したからといって、500万円すべてが所得になるわけではありません。

取得価額などを差し引き、その売却によって生じた利益を計算します。


売却額だけを見るのではなく、今年の給与や事業所得なども確認しながら、その年にいくらの利益を確定させるのかを考えることが重要です。

国民健康保険なら翌年度の保険料にも注意

国民健康保険なら翌年度の保険料にも注意

ここでもう一つ確認したいのが、国民健康保険です。

国民健康保険の所得割は前年の所得をもとに計算されるため、暗号資産で大きな利益を確定すると、翌年度の国民健康保険料が上がる可能性があります。

つまり、売却した年の所得税と住民税だけを見て判断すると、翌年になって想定以上の負担が発生することがあります。


大きな含み益を一度に確定させた結果、所得税・住民税に加えて翌年度の国民健康保険料まで大きく増えると、せっかく利益を確定したのに「利益が帳消しになる」と感じるほど手元に残る金額が減ってしまうこともあります。


そのため国民健康保険に加入している人は、今年の税金だけではなく、翌年度の保険料まで概算したうえで売却額を考えた方がよいでしょう。

一度にすべて売却する必要がなければ、国民健康保険料への影響も確認しながら、その年に確定させる利益を調整するという方法もあります。

なお、国民健康保険料の計算方法、料率、賦課限度額などは自治体によって異なります。

会社員の健康保険は考え方が違う

会社員などが勤務先で加入する健康保険や厚生年金の保険料は、基本的に勤務先から受け取る給与などをもとにした標準報酬月額や標準賞与額によって決まります。

そのため、暗号資産の雑所得が増えたからといって、通常はその利益が直接、勤務先の健康保険料や厚生年金保険料に加算されるわけではありません。

暗号資産を売却するときは、自分が国民健康保険なのか、勤務先の健康保険なのかを区別して考える必要があります。

2028年から暗号資産の税金はどう変わる?

2028年から暗号資産の税金はどう変わる?

暗号資産の税制は今後、大きく変わる予定です。

2026年度税制改正では、金融商品取引法等の改正を前提として、一定の「特定暗号資産」の取引による所得を他の所得と分けて課税する申告分離課税が設けられました。

対象となる取引では、所得税15%、個人住民税5%となり、復興特別所得税を含めると実質的には20.315%となります。


また、対象となる特定暗号資産の取引で損失が発生した場合には、一定の要件のもとで翌年以後3年間の繰越控除も設けられます。

適用開始日は改正金融商品取引法の施行時期と連動しており、政府は現時点で2028年1月1日からの開始を想定しています。


ただし、すべての暗号資産、すべての取引が一律に20.315%になるわけではありません。

対象となる特定暗号資産や取引の条件があるため、実際に新制度が始まる段階で改めて対象を確認する必要があります。

2028年まで売らない方がいいとは限らない

現在大きな含み益がある場合、「分離課税になるまで売らない方が得なのでは」と考えるかもしれません。

税金だけを比較すれば、売却時期によって負担に大きな差が生じる可能性はあります。

しかし、2028年まで暗号資産の価格が現在の水準を維持するとは限りません。

税金を減らすために売却を先送りした結果、それ以上に価格が下落してしまえば本末転倒です。

反対に、すぐに使う予定のない資金で、現在の所得や国民健康保険料への影響が大きいのであれば、売却時期や売却額を分けて考える余地があります。

税制だけで「今売る」「2028年まで待つ」と決めるのではなく、価格変動、必要な資金、資産全体のバランスまで含めて判断することが大切です。

Mクリニックに相談できること

Mクリニックに相談できること

Mクリニックは札幌を拠点に、家計、保険、住宅ローン、教育費、老後資金、資産運用など、暮らしと将来に関わるお金を横断して相談できるFP相談窓口です。

暗号資産に大きな含み益がある場合も、暗号資産だけを切り離して考えるのではなく、税金や国民健康保険料、預貯金や株式、投資信託などを含めた資産全体、さらにこれから必要になるお金まで確認しながら、売却時期や金額を整理していくことができます。

たとえば、「どのくらい売却すればよいのか」「一度に売却するのか、何年かに分けるのか」「国民健康保険料への影響まで考えると、今年はいくら利益を確定させるのがよいのか」といったことも、現在の収入や資産状況、今後の予定を確認しながら考えます。


  •  暗号資産が金融資産全体の中でどのくらいの割合になっているか
  •  現在の含み益と、売却した場合に確定する利益をどう考えるか
  •  税金や国民健康保険料まで含めて、売却額や売却時期をどう考えるか
  •  住宅購入、教育費、老後資金など、今後必要になるお金を確保できているか
  •  暗号資産を保有し続ける場合の資産全体のバランスをどう考えるか

目的は、暗号資産を売ることや保有し続けることを勧めることではありません。

税金だけを少なくするのではなく、売却後に手元に残るお金と、その後の生活や資産全体まで含めて考えることが大切です。


具体的な税額計算や確定申告など、個別の税務判断が必要な場合には、税務署や税理士への確認が必要です。

札幌を拠点にしていますが、全国を対象にオンラインでの相談にも対応しています。

まとめ|暗号資産は「売った後にいくら残るか」まで考える

まとめ|暗号資産は「売った後にいくら残るか」まで考える

2026年現在、個人の暗号資産取引による利益は原則として雑所得となり、給与など他の所得と合算して課税されます。

大きな含み益がある場合は、「売るか、売らないか」だけではなく、その年にいくらの利益を確定させるのかまで考えることが大切です。


特に国民健康保険に加入している場合は、所得税・住民税だけでなく、翌年度の国民健康保険料にも影響する可能性があります。

一度に多くの利益を確定したことで税金や国民健康保険料が大きく増え、手元に残る金額が減ってしまうこともあります。

すぐに全額を現金化する必要がないのであれば、現在の所得や翌年度の国民健康保険料への影響を確認しながら、何年かに分けて売却することも選択肢になります。


また、いざ売却するときに過去の取得価額や取引内容が分からなくならないよう、国税庁が公開している「暗号資産の計算書」や取引所のデータを活用し、毎年の取引をその都度整理しておくことも重要です。


2028年からは一定の暗号資産取引について申告分離課税への移行が想定されていますが、税金だけを理由に売却を先送りすればよいとは限りません。

暗号資産の売却では、いつ、いくら利益を確定し、税金や国民健康保険料を支払った後にいくら手元に残るのかを確認し、その後の家計や資産全体まで含めて判断することが大切です。



2025年8月17日 執筆

2026年9月20日 更新

この記事を書いた人

小川 和哉 | ファイナンシャルプランナー

資産運用、保険、住宅ローンなど幅広い分野に精通し、個人の家計相談に加え、個人事業主や副業を行う方への記帳指導・経理支援にも力を入れており、実務に直結する実践的なアドバイスを提供。ライフスタイルに応じたオーダーメイド設計と、将来を見据えた長期的なサポートを重視し、目先の利益にとらわれない提案が好評。
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