2025.09.10
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火災保険の更新で保険金額を見直すべき理由|一部保険・超過保険を避ける方法

住宅を新築した際に加入する火災保険は、新築時の建築価格を基準に保険金額を設定するのが一般的です。しかし、更新のタイミングでは本来、建物の評価額や建築費に合わせて見直す必要があります。ところが実際には、深く考えずに加入当初の金額のまま更新しているケースも少なくありません。そこで今回は、更新時に保険金額を見直すべき理由や、一部保険・超過保険といったリスク、さらに適正な金額を設定するためのポイントを解説します。

■ なぜ更新時に保険金額を見直す必要があるのか

■ なぜ更新時に保険金額を見直す必要があるのか

火災保険は「建物を再建するのに必要な金額」を基準に契約するのが原則です。ただし、更新の時点で建物の評価額や建築費は大きく変わっている可能性があります。


  •  建物の築年数が進み、評価額が下がっている
  •  建築資材や人件費の高騰で、建築費が当初より上がっている

このズレを放置すると、万一のときに十分な保険金が受け取れなかったり、逆に無駄な保険料を払い続けてしまうことになります。

■ 一部保険とは?(建築費が上がった場合の注意点)

■ 一部保険とは?(建築費が上がった場合の注意点)

「一部保険」とは、本来必要な保険金額よりも少ない金額で契約している状態を指します。 簡単にいえば「保険金額が足りていない状態」です。


この場合、損害が発生した場合の保険金の支払いは契約額の割合に応じて減額されてしまいます。


例)


  •  当初の建築費:3,000万円
  •  現在の再建築費:4,000万円
  •  保険金額を3,000万円のままにしていると、一部保険となる

仮に半焼で2,000万円の損害が発生した場合でも、契約額は「必要額の75%(3,000万円/4,000万円)」しか設定していないため、支払われるのは1,500万円まで。 結果として、500万円は自己負担になってしまいます。

■ 超過保険とは?(評価額が下がった場合の注意点)

■ 超過保険とは?(評価額が下がった場合の注意点)

「超過保険」とは、建物の実際の評価額よりも高い金額で契約している状態を指します。 つまり「保険金額を掛けすぎている状態」です。


火災保険は「実際にかかる再建築費用まで」しか支払われません。いくら高い金額で契約しても、余分に保険金が出ることはなく、結果的に保険料の払いすぎになります。 


例)


  •  当初の建築費:2,500万円
  •  現在の評価額:1,500万円
  •  保険金額をそのまま2,500万円に設定すると、超過保険となる

この場合、保険料は「2,500万円分」で支払っているのに、実際に火災で全焼しても支払われるのは「1,500万円まで」。差額分の保険料は完全なムダ払いです。

■ 見直しのタイミングとチェックポイント

■ 見直しのタイミングとチェックポイント

更新時だけでなく、以下のタイミングでも見直しがおすすめです。


  •  築10年・20年など節目の年数
  •  大規模リフォームや増改築をしたとき
  •  近年のように建築費が急激に変動したとき


チェックポイントは以下の2点です。


  •  今建て直すといくらかかるか
  •  設定している保険金額と比べて差がないか

■ 適正な保険金額を設定するための方法

■ 適正な保険金額を設定するための方法

更新時には、以下の方法等で「適正な保険金額」を確認することが大切です。


  •  保険会社に「再評価」を依頼する
  •  建築会社に再建築費の見積もりをとる
  •  自分で相場を調べる

特に近年は資材価格や人件費の高騰で建築費が上がっており、保険金額を上げる必要があるケースが増えています。 建築費や評価額は地域差も大きいため、複数の情報源を使って検証することが安心につながります。

【まとめ】火災保険の更新は“保険金額の見直し”が最大のポイント

【まとめ】火災保険の更新は“保険金額の見直し”が最大のポイント

火災保険は「入っているから安心」ではなく、更新ごとに保険金額や補償内容を見直す必要があります。 一部保険では補償が足りず、超過保険では保険料を払いすぎることになります。

更新時には、建物の価値や建築費を確認し、今の住まいに合った「適正な保険金額」で契約を続けましょう。専門家や保険会社に相談しながら、安心できる補償を整えてください。

この記事を書いた人

小川 和哉 | ファイナンシャルプランナー

資産運用、保険、住宅ローンなど幅広い分野に精通し、個人の家計相談に加え、個人事業主や副業を行う方への記帳指導・経理支援にも力を入れており、実務に直結する実践的なアドバイスを提供。ライフスタイルに応じたオーダーメイド設計と、将来を見据えた長期的なサポートを重視し、目先の利益にとらわれない提案が好評。
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