2025.05.21
  • ライフプラン

親が亡くなった後に実家を売却する場合の3000万円特別控除|2024年改正で使いやすくなった制度と注意点

親が亡くなり、空き家になった実家。相続手続きが落ち着いたあと、「この家をどうしよう」と悩む方は多いのではないでしょうか。

そんなときに活用できるのが「空き家の3000万円特別控除」という制度です。


2024年には制度改正もあり、以前より使いやすくなっています。この記事では、制度の基本から具体的な条件、注意点、補助金の活用方法まで、わかりやすくまとめました。

空き家の3000万円特別控除とは?

空き家の3000万円特別控除とは?

相続した家を売ったとき、一定の条件を満たせば譲渡所得から最大3000万円を控除できる制度です。


この制度は空き家の発生を防ぐため、2016年に創設されました。

適用条件(2024年改正対応)

適用条件(2024年改正対応)

以下すべてを満たす必要があります:


  •  親が亡くなる直前まで一人で住んでいた家であること
  •  1981年5月31日以前の旧耐震基準の建物
  •  売却までに耐震改修をする or 解体して更地にする
  •  相続後に住んだり貸したりしていない
  •  相続開始から3年後の12月31日までに売却

改正ポイント①:買主による改修・除却も対象に

2024年以降、契約に基づき買主が譲渡の翌年2月15日までに耐震改修や解体を行った場合も、控除の対象になります。

改正ポイント②:控除額が相続人数で変動

相続人が3人以上いる場合、1人あたりの控除は2000万円に減額されます。

よくある失敗例と注意点

よくある失敗例と注意点

❌ 耐震改修をしないまま売却

旧耐震のまま売却すると、控除は使えません。


❌ 売却期限を過ぎてしまった

相続後、売却が3年目の12月31日を超えてしまうと対象外に。


❌ 空き家を一時的に使ってしまった

短期間でも住んだり倉庫利用した場合は適用外になります。

補助金を使って費用を抑える方法も

補助金を使って費用を抑える方法も

解体や耐震改修には費用がかかりますが、自治体によっては補助金制度があります。


  •  耐震改修:最大100万円の補助(自治体による)
  •  除却(解体):30万〜80万円支給例も

市区町村の住宅課や建築課などに早めに確認しておきましょう。

制度を使う前に「費用対効果」を確認

制度を使う前に「費用対効果」を確認

この制度を使えば税金は抑えられますが、工事費や手数料などのコストとのバランスが大切です。


  •  節税額:300万円
  •  耐震改修費:400万円 → 結果的に損になる場合も

補助金を含めて試算することが大切です。

【まとめ】制度を知って後悔しない選択を

【まとめ】制度を知って後悔しない選択を

実家の売却は、感情と実務が交錯する繊細なテーマです。

制度を正しく知り、冷静に判断することで、「知らずに損した」という後悔を防げます。


  •  相続後の売却は3年以内に
  •  耐震または解体が必要(買主実施でも可)
  •  補助金が使える可能性あり
  •  制度を使うかは費用対効果で判断を



生前に売却したい場合は 親が老人ホームに入所したときの実家売却|居住用財産の3000万円特別控除をわかりやすく解説 もご覧ください

この記事を書いた人

小川 和哉 | ファイナンシャルプランナー

資産運用、保険、住宅ローンなど幅広い分野に精通し、個人の家計相談に加え、個人事業主や副業を行う方への記帳指導・経理支援にも力を入れており、実務に直結する実践的なアドバイスを提供。ライフスタイルに応じたオーダーメイド設計と、将来を見据えた長期的なサポートを重視し、目先の利益にとらわれない提案が好評。
相談・お仕事のご依頼

お問い合わせ

SNS
SHARE