2026.08.28
  • 住まい

固定資産税の精算金は譲渡所得になる?不動産売却で手取りを減らさないポイント

公 開 日:2025年06月07日

最終更新日:2026年8月28日


不動産を売却すると、引渡日に合わせて固定資産税や都市計画税を売主と買主で精算することがあります。

売主からすると、「自分が先に払った固定資産税を、買主から返してもらっただけ」と感じるかもしれません。


ところが税金の計算では、買主から受け取った固定資産税等の精算金も、不動産の売却代金の一部として扱われます。

だからといって、精算金を受け取らない方が得という話でもありません。


不動産売却で本当に確認したいのは、固定資産税精算金だけではなく、取得費、売却にかかった費用、所有期間、使える特例まで含めて、最終的にいくら手元に残るかです。


この記事では、固定資産税精算金の扱いと、不動産を売る前に確認しておきたいポイントを分かりやすく整理します。

この記事でわかること

この記事でわかること

  • 固定資産税の精算金は税金の計算でどう扱うのか
  • 精算金を受け取らない方が得なのか
  • 所有期間5年の境目で何が変わるのか
  • マイホームを10年以上所有している場合の軽減税率
  • 昔の契約書や領収書を探した方がよい理由
  • 年末に売却する場合に確認したい固定資産税

固定資産税の精算金は売却代金に含まれる

固定資産税の精算金は売却代金に含まれる

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。

そのため、年の途中で不動産を売却しても、自治体が売主と買主の税金を日割りしてくれるわけではありません。


そこで売買契約では、引渡日以降の固定資産税相当額を買主から売主へ支払い、当事者間で負担を調整することがあります。

たとえば、


  • 不動産の売買価格:3,000万円
  • 買主から受け取った固定資産税等の精算金:10万円

だった場合、譲渡所得を計算するときの収入金額は、原則として3,010万円です。

固定資産税の精算金という名前でも、売主が買主から受け取る不動産の譲渡対価の一部として扱われます。


参考:
国税庁|土地建物を売ったときの収入金額に含める金額

売主が払った固定資産税は差し引ける?

売主がその年に支払った通常の固定資産税は、不動産を売るために直接かかった費用ではないため、譲渡費用として差し引くことはできません。

譲渡費用になるのは、仲介手数料や売買契約書の印紙代、一定の測量費など、不動産を売るために直接かかった費用です。


参考:
国税庁|譲渡費用となるもの

精算金を受け取らない方が得?

精算金を受け取らない方が得?

固定資産税精算金が売却代金に含まれると譲渡価額が増えるため、その分、税金が増えることがあります。

それなら、「最初から精算しなければ税金が減るのでは?」と考えるかもしれません。


確かに、精算金を受け取らなければ、その金額が譲渡価額に加わることはありません。

ただし、その分のお金も受け取れなくなります。


たとえば10万円の精算金を受け取って譲渡所得が10万円増えても、10万円すべてが税金になるわけではありません。増えるのは、その10万円に対してかかる税金です。

そのため、通常は税金が少し増えても、固定資産税精算金を受け取った方が手元に残るお金は多くなります。


固定資産税精算金を受け取らないことを、節税方法として考える必要はないでしょう。

受け取るべき精算金は受け取り、そのうえで取得費や譲渡費用、利用できる特例まで含めて、売却全体の手取りを確認する方が大切です。


また、固定資産税を一括で納めるか、分けて納めるかによって、精算金の税務上の扱いが変わるわけでもありません。

売却時期を選べるなら確認したいこと

売却時期を選べるなら確認したいこと

固定資産税精算金そのものを工夫するより、売却する時期によって税金が変わらないかを確認する方が重要です。

所有期間5年の境目にいる場合

土地や建物は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていると「長期譲渡所得」、5年以下なら「短期譲渡所得」となり、税率が大きく変わります。

通常のマイホームで5年以内に売却するケースはそれほど多くありませんが、売却時期を自由に選べて、ちょうど5年の境目にいる場合は確認しておく価値があります。


一方、住宅ローンの返済が難しいなど、早く売却する必要がある場合は税率だけを理由に売却を先延ばしするものではありません。


参考:
国税庁|譲渡所得の計算のしかた

年末に売れそうなら1月1日も意識する

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。

そのため、12月から1月にかけて売却時期を選べる場合は、年内に所有権移転まで完了できるか確認しておくとよいでしょう。

1月1日時点で買主へ所有権移転登記が完了していれば、翌年度の固定資産税の納税義務者は原則として買主になります。

数日違うだけで翌年度1年分の納税義務者が変わることがあるため、年末の売却では確認しておきたいポイントです。


参考:
札幌市|固定資産税

マイホームを10年以上所有しているなら軽減税率を確認

マイホームを10年以上所有しているなら軽減税率を確認

長く住んでいたマイホームを売る場合は、3,000万円特別控除だけで終わらせず、所有期間も確認してみましょう。


売った年の1月1日時点で、家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えているなど一定の条件を満たすと、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」を利用できることがあります。

この特例では、3,000万円特別控除を使った後に残った課税長期譲渡所得のうち、6,000万円以下の部分について通常より低い税率で計算できます。


さらに、3,000万円特別控除と10年超所有の軽減税率は併用できます。

売却益が大きい場合は、使えるかどうかで税額に差が出ます。

特に、昔から住んでいる自宅や親から引き継いだ家などを売る場合は、「10年以上持っているから関係ない」と考えず、居住期間や所有期間を確認しておきましょう。


参考:
国税庁|マイホームを売ったときの軽減税率の特例

昔の書類は徹底的に探す

昔の書類は徹底的に探す

不動産を売るときに、手取りへ大きく影響することがあるのが「取得費」と「譲渡費用」です。

取得費とは、その土地や建物を買ったときにかかった金額です。

売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いて利益を計算するため、差し引ける金額が大きければ、その分だけ課税される譲渡所得も小さくなります。

購入価格が分かる書類を探す

取得費には、購入代金や建築代金、購入時の手数料、一定の設備費や改良費などが含まれます。

ところが、古い実家や何十年も前に買った不動産では、購入時の書類が見つからないことがあります。


取得費が分からない場合は、売却金額の5%を取得費として計算する方法があります。

たとえば3,000万円で売却した場合、5%なら取得費は150万円です。

実際にはもっと高い金額で購入していても、それを確認できなければ、税金の計算で不利になることがあります。


不動産を売ると決めたら、


  • 購入時の売買契約書
  • 建築請負契約書
  • 購入時の仲介手数料の領収書
  • 増改築や設備工事の資料
  • 購入当時の精算書や領収書

などが残っていないか、実家の書類、金庫、銀行関係の保管書類なども含めて探してみましょう。


参考:
国税庁|取得費となるもの

参考:
国税庁|取得費が分からないとき

売却にかかった費用も忘れない

売却時に支払った費用の中にも、譲渡所得から差し引けるものがあります。


  • 不動産会社への仲介手数料
  • 売買契約書の印紙代
  • 売却のために必要になった測量費
  • 土地を売るために行った建物の取壊し費用など

領収書や契約書がなければ、確定申告のときに確認するのが難しくなります。

昔の購入資料と、今回の売却に使った資料は捨てずに一か所へまとめておきましょう。


固定資産税精算金の数万円を気にするより、取得費や譲渡費用をきちんと確認する方が、最終的な税額に大きく影響することがあります。


参考:
国税庁|譲渡費用となるもの

3,000万円特別控除も忘れずに確認する

3,000万円特別控除も忘れずに確認する

自分が住んでいたマイホームを売却した場合は、条件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特別控除があります。

固定資産税精算金も含めて売却による利益を計算し、その後に特別控除を適用します。

その結果、3,000万円特別控除の範囲内に収まり、譲渡所得に対する税金がかからないこともあります。


固定資産税精算金だけを見て「税金が増える」と心配するより、まず自分の売却で3,000万円特別控除を使えるか確認してみましょう。


参考:
国税庁|マイホームを売ったときの3,000万円特別控除

売却前に確認しておきたいこと

売却前に確認しておきたいこと

不動産を売ることが決まったら、次の順番で確認しておくと分かりやすくなります。


  • 購入時の契約書や領収書を探す
  • 売却にかかる仲介手数料や測量費などを確認する
  • マイホームの3,000万円特別控除を使えるか確認する
  • 10年超所有のマイホームなら軽減税率も確認する
  • 5年の境目にいる場合は所有期間を確認する
  • 年末の売却なら1月1日時点の所有者も確認する
  • 固定資産税等の精算金も含めて最終的な手取りを計算する

固定資産税精算金だけをどう処理するか考えるより、この順番で売却全体を確認する方が、手元に残るお金を把握しやすくなります。

Mクリニックで相談できること

Mクリニックで相談できること

Mクリニックは札幌を拠点に、家計、保険、住宅ローン、教育費、老後資金、資産運用、終活など、暮らしと将来に関わるお金を横断して相談できるFP相談窓口です。

不動産を売却するときも、売却価格だけではなく、税金や諸費用を差し引いた後に、実際いくら手元へ残るのかを整理します。


たとえば、


  • 自宅や実家を売った後の手取り額を確認したい
  • 固定資産税精算金をどう扱うか分からない
  • 昔の購入資料がどこまで必要なのか整理したい
  • 3,000万円特別控除や10年超の軽減税率を確認したい
  • 不動産を売る時期を迷っている
  • 売却後のお金を住宅費や老後資金にどう使うか考えたい

といったご相談があります。

具体的な税額や確定申告について税理士へ確認した方がよい場合は、必要な資料や確認したい内容を整理したうえで進めます。

札幌を拠点にしていますが、全国を対象にオンラインでの相談にも対応しています。

まとめ|精算金より「売却全体の手取り」を確認する

まとめ|精算金より「売却全体の手取り」を確認する

買主から受け取った固定資産税等の精算金は、不動産売却の譲渡価額に含めて計算します。

この精算金だけを課税対象から外すために工夫するより、不動産売却全体を確認する方が重要です。


特に、


  • 10年超所有のマイホームに使える軽減税率
  • 3,000万円特別控除
  • 購入時の取得費
  • 売却時の譲渡費用
  • 売却する時期

は、手元に残る金額に影響します。

中でも、昔の契約書や領収書は、売却を決めた段階で一度しっかり探してみてください。


「固定資産税精算金にいくら税金がかかるか」だけではなく、不動産を売った結果、最終的にいくら手元に残るのか。

そこまで確認して、不動産売却を考えていきましょう。



2025年6月7日 執筆

2026年8月28日 更新

この記事を書いた人

小川 和哉 | ファイナンシャルプランナー

資産運用、保険、住宅ローンなど幅広い分野に精通し、個人の家計相談に加え、個人事業主や副業を行う方への記帳指導・経理支援にも力を入れており、実務に直結する実践的なアドバイスを提供。ライフスタイルに応じたオーダーメイド設計と、将来を見据えた長期的なサポートを重視し、目先の利益にとらわれない提案が好評。
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