2025.07.06
  • 住まい

家相・風水のNG理由を科学的に解説|現代設計での回避策と対策例

家づくりを考えるとき、「家相」「風水」を気にする方は少なくありません。
しかし「鬼門は避けた方がいい」「玄関の位置は大事」といった言葉を耳にしても、なぜダメなのかが漠然としていることが多いのではないでしょうか。
家相や風水のNGには、単なる迷信ではなく、当時の暮らしや日本の気候風土に基づく合理的な理由が隠れています。
そして、現代の設計や設備を活用すれば、多くの問題は回避・軽減が可能です。
この記事では、家相・風水で「ダメとされている理由」とその背景、現代住宅設計での回避策や、さらに置物や色などを使ったインテリア対策まで、安心で快適な住まいをつくるためのヒントをお伝えします。

■ 鬼門・裏鬼門に水回りを配置するNG理由と対策

■ 鬼門・裏鬼門に水回りを配置するNG理由と対策

なぜダメなのか

鬼門(北東)や裏鬼門(南西)は、気の流れが乱れやすい境界とされ、家相では「不浄を置くと邪気を呼び込む」と忌避されてきました。
背景には、日本の気候や当時の住宅性能があります。北東や南西は冬場の日射が少なく寒いため、湿気やカビがこもりやすく、排水や換気が未発達な時代は汚れが溜まりやすかったのです。
これが「邪気を呼ぶ」という教えに繋がりました。

現代的な回避策

現在の住宅は高断熱・高気密化、24時間換気システムの導入などで湿気やカビを大きく抑えられます。
プランニング段階で鬼門ラインから外せるなら優先的に外すことが大切です。
避けられない場合も換気計画・断熱・採光を最優先し、特にトイレは配置を慎重に検討し、清潔感を重視した仕上げにすることが重要です。

■ 玄関が鬼門・裏鬼門にある場合の課題と解決策

■ 玄関が鬼門・裏鬼門にある場合の課題と解決策

なぜダメなのか

玄関は家全体の「気の入り口」とされ、鬼門や裏鬼門に配置すると悪い気を直接取り込むと考えられています。
また、北東は冬場の冷気が流れ込み、南西は夏の西日が強烈に当たるなど、温熱環境面でも大きな課題があります。

現代的な回避策

風除室やポーチを設けて外気との温度差を緩衝する、庇や遮熱ガラスを使って日射を制御するなど、温熱性能を高める設計が有効です。
収納計画で玄関を常に整頓しやすくし、明るい照明で陰気を払う工夫も大切です。
どうしてもライン上に配置する場合は、風除室を設計上の必須条件とするのがお勧めです。

■ 玄関から一直線の動線がNGな理由と対応

■ 玄関から一直線の動線がNGな理由と対応

なぜダメなのか

「玄関から一直線で勝手口や大開口が見えるのはNG」とされる理由は、「入った気がそのまま抜ける=財運が貯まらない」という考えに基づいています。
現代設計でも一直線動線は、防犯上内部が見通しやすくプライバシー性が下がり、冷暖房効率も低下するなどの課題があります。

現代的な対応策

玄関ホールや袖壁を設けたり、スクリーンや家具レイアウトで視線をコントロールすることが重要です。
動線をクランクさせることで、心理的な安心感と落ち着きを持たせることができます。

■ 西に水回りを配置する際のリスクと対策

■ 西に水回りを配置する際のリスクと対策

なぜ避けるべきか

西は金運を象徴する方位とされ、水回りを置くと「金を流す」として忌避されます。
また、夏場の強い西日は室温を上げ、湿気を増やし、仕上げ材の劣化を招きます。

現代的な設計対応

西面の開口を最小限にし、庇や外付けスクリーン、遮熱ガラスなどで日射を制御することが大切です。
内部断熱や計画換気をしっかり行い、カビや結露のリスクを軽減する設計を前提としましょう。

■ 東南を活かす間取り計画

■ 東南を活かす間取り計画

なぜ重視されるのか

東南は「風を招き、縁を結ぶ」吉方位とされ、通風や採光計画でも非常に有利な方位です。
朝日が入り、風通しが良いことで生活リズムを整え、湿気を飛ばし、室内環境を快適に保つことができます。

現代的な活かし方

リビングやダイニングなど家族が長く過ごす空間を東南に配置し、大開口や庇を活用した日射制御を取り入れることで、健康的で快適な住まいを実現できます。

■ 北側を寝室にする利点

■ 北側を寝室にする利点

なぜおすすめなのか

北は陰の気が強く、静寂を象徴する方位です。
風水では安眠を促す場所として推奨され、現代住宅でも同じように活かせます。
夏は涼しく、冬も断熱性能を高めれば室温を安定させやすいのが特徴です。

快適化のポイント

日射を抑えた落ち着いた空間を作りやすく、内装を落ち着いたトーンでまとめ、間接照明や音環境の工夫でより快適な寝室を設計できます。

■ 回避しきれない場合の設計優先順位

■ 回避しきれない場合の設計優先順位

どう優先順位をつけるか

敷地条件や法規制など、どうしても全てを理想通りに配置できないケースも多いものです。
そんな場合は優先順位を整理し、回避策で対策します。

設計上のポイント

  • 鬼門・裏鬼門の水回り:換気、断熱、採光を最優先
  • 玄関:風除室やポーチを計画必須に
  • 玄関動線:ホールや間仕切りで視線を制御
  • 西面:遮熱と換気設計を前提条件に

■ 置物や色を活かした象徴的なインテリア対策

■ 置物や色を活かした象徴的なインテリア対策

インテリアでできる工夫

設計だけで完全にNGを排除できない場合でも、インテリアを活用した「結界」「浄化」の演出が可能です。


鬼門・裏鬼門の水回りには白系タイルやカーテンで清浄感を演出し、盛り塩や観葉植物を配置するなど工夫が有効です。


玄関には側面に鏡を設置して気を広げ、白やグレーのマット、陶器の鉢植えなどで整えます。


一直線動線には背の高いグリーンやラグ、アートを配置し、気の流れを留める工夫をしましょう。


西面の水回りではゴールドやイエローの小物を取り入れて金運を象徴するなど、色使いでも対策ができます。

■ 【まとめ】家相と風水を活かした快適な住まいづくりのために

■ 【まとめ】家相と風水を活かした快適な住まいづくりのために

家相や風水の「ダメな理由」には、昔の日本の暮らしや気候に根ざした合理的な背景があります。
現代の住宅設計や設備を活用すれば、多くのリスクは軽減できますが、すべてを無視していいわけではありません。
家族のライフプランや価値観を大切にしつつ、ポイントを押さえた設計やインテリアの工夫を取り入れることで、安心感のある住まいを実現できます。


家相や風水を「迷信」と切り捨てず、現代の合理性を活かしながら上手に取り入れることは、ご家族の安心感や満足度を高める大切な視点だと思います。

「気にしすぎず、無視しすぎず」、ちょうど良いバランスで取り入れて、長く心地よく暮らせる住まいを考えていきましょう。

この記事を書いた人

小川 和哉 | ファイナンシャルプランナー

資産運用、保険、住宅ローンなど幅広い分野に精通し、個人の家計相談に加え、個人事業主や副業を行う方への記帳指導・経理支援にも力を入れており、実務に直結する実践的なアドバイスを提供。ライフスタイルに応じたオーダーメイド設計と、将来を見据えた長期的なサポートを重視し、目先の利益にとらわれない提案が好評。
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