【基礎編】家は買って終わりじゃない。戸建住宅の修繕内容と費用の目安
ピカピカの新築住宅でも長年住んでいると劣化が進み、修繕が必要な箇所が発生します。 マンション暮らしの場合は維持費として管理費・修繕積立金で月2万円程度支払っている人も多く、住宅ローン+維持費を支払うのが大変、という声もよくききます。 一方、戸建住宅の場合は管理費・修繕積立金の支払いは発生しません。しかし管理にも修繕にもお金がかからないということではなく、自分で判断して適宜行わなければならないということです。急に用意するのは大変なので、先々の修繕にかかるお金はある程度事前に用意しておきましょう。
一戸建ての修繕費の平均は532.1万円
一戸建ての修繕費の平均は532.1万円
新築一戸建てに30年以上住んでいる人を対象にしたアンケート調査(※)によると、一戸建て(築年数平均36.8年)の修繕費の平均は532.1万円(木造住宅の平均470.2万円、鉄筋鉄骨造の平均617.7万円)とのことでした。 以下、アンケート結果から修繕箇所とそれぞれの修繕費の目安をみていきましょう。
戸建住宅の修繕箇所と費用の目安
戸建住宅の修繕箇所と費用の目安
1)外装(外壁、屋根)
最も修繕経験者が多かったのが「外壁」で、修繕回数は1.8回、修繕費合計は173.4万円でした。 2番目に修繕経験者が多い「屋根」の修繕回数は1.6回、修繕費合計は144.5万円です。
外装の修繕は主に再塗装や劣化した部分の修復、屋根材・外壁材の張替えなどですが、足場を組む費用も含まれるので高額になりがちです。「見た目が古くなっても気にしない」と劣化を放置してしまうと、耐水性が低下して内部に影響を及ぼすこともあるので、耐用年数を考慮してメンテナンスをしていきましょう。
2)水周り(トイレ、給湯器、風呂、洗面台、キッチン、給水管)
外壁・屋根の次に修繕した人が多いのは「トイレ」で、修繕回数は1.7回、修繕費合計は43.2万円でした。 以下、「給湯器」は1.7回で54.1万円、「風呂」は1.6回で105.3万円、「洗面台」は1.3回で34.5万円、「キッチン」は1.3回で115.4万円、「給水管」は1.3回で31.7万円となっています。
水回りはトラブルが発生すると生活に支障が出るので、「費用はかかるけど仕方なく」急ぎで修繕に踏み切る人が多い箇所です。設備の数だけ修繕箇所が増えますので、トイレや洗面台の数が多いと修繕費も上乗せになります。
3)内装(壁紙、床)
「壁紙」の修繕回数は1.4回で修繕費合計は49.6万円、「床」は1.5回で59.8万円となっています。
フローリングの耐用年数は約15~20年、壁紙は10年前後と意外と短いものです。多少問題があっても生活で不便を感じにくいことが多く後回しになりがちですが、どこかを直すときにまとめて作業をすると良いでしょう。
4)玄関、ベランダ、バルコニー
修繕したことがある人が全体の3割以下と割合は多少少なくなりますが、「玄関」の修繕回数は1.3回で修繕費合計は44.5万円、「ベランダ・バルコニー」は1.3回で68.6万円となっています。
玄関は、防犯・断熱性向上のためのドアの交換、タイルの貼り替えや収納の修繕、バリアフリー化をするというケースが多いようです。 ベランダやバルコニーはひび割れやはがれを直して防水性を高めたり、手すりの錆やぐらつきを修繕します。
5)床下、シロアリ関連
「床下」の修繕回数は1.7回で修繕費合計は36.3万円、「シロアリ関連」は1.6回で33.7万円となっています。
床を踏むとふかふかする場合、経年により床板を支える下地部分が腐食していることがあります。こうなるとフローリングの修繕だけでなく床下の修繕も必要です。 シロアリは寒さに弱いため北海道では被害が少ないのですが、道内でも寒さに強いタイプのシロアリが点在する形で生息しています。たまたまそのエリアに建てて被害に遭われたり、シロアリ対策がされていない断熱性能の高い家で発生することがあるようです。
修繕費用はどのように捻出したか。月々の積立金額は?
修繕費用はどのように捻出したか。月々の積立金額は?
76.7%の人が「貯金から」と最も多い結果になりました。修繕費として積み立てを行っていたという人は全体の8.3%しかおらず、他には「退職金」「借入金」「親や親戚からの援助」で修繕をしているようです。 なお、修繕積立を行っている人の平均積立金額は月2.5万円で、平均積立総額は245.3万円(平均積立期間14.7年)です。
「貯金は修繕にも使おうと思っていた」というなら問題ありませんが、老後の資金確保や子どもの教育費を主な目的としている貯金の場合、それを家の修繕で使ってしまうと老後の生活費や教育資金が不足してしまいます。家の修繕費も計画的に貯めたいものです。
住宅取得時は修繕費も考慮して
住宅取得時は修繕費も考慮して
住宅を取得する際は、先々にかかる修繕費も視野に入れて購入を検討しましょう。
例えば、一般的に中古住宅は新築住宅と比べて取得金額を抑えることができますが、購入時に既に築年数が経過しているので修繕のタイミングが新築より早く訪れます。またリフォーム済み物件で見た目や設備がきれいでも、内部の躯体および断熱部分で劣化が進んでいることもあります。同じ期間住んだ場合、新築住宅より多くの修繕費がかかることが考えられます。
新築住宅を建てる際には、メンテナンスの回数を減らせる屋根材や外壁材、内装材、断熱材などを用いると、取得時のコストは上がりますが、その後の修繕費を抑えることができます。修繕の際には施工業者との打ち合わせや費用の工面に加え、施行中の生活の不便も生じます。これらが面倒だと考える場合は新築時に多少費用がかかってもメンテナンスの回数が減るように建築することも検討しましょう。
子どもが生まれたら将来教育費が必要になるように、家を買ったら将来修繕費が必要になります。ずっと先だけど必ず必要になるお金なので、なるべく早くから準備をしておくことをおすすめします。出費の予定を事前に把握するために、自分や家族の今後の人生を想定してライフイベントを書き出し、どの時期にどのくらいのお金がかかりそうか確認しておくとよいでしょう。
※【アットホーム調査(2021年)】“新築一戸建て購入後30年以上住んでいる人に聞く「一戸建て修繕の実態」調査”
https://athome-inc.jp/news/data/questionnaire/kodate-shuuzen-202111/