2023.06.28
  • 住まい

戸建て住宅の修繕費用はいくらかかる?平均532万円の内訳と積立の実態を徹底解説

新築で購入した住宅も年月とともに劣化が進み、修繕やメンテナンスが必要になります。​マンションでは管理費や修繕積立金を毎月支払うことで維持管理が行われますが、戸建て住宅ではこれらの費用が発生しない代わりに、自己責任で計画的な修繕が求められます。​将来的な出費に備えて、早めの準備が大切です。

一戸建ての修繕費の平均は532.1万円

一戸建ての修繕費の平均は532.1万円

新築一戸建てに30年以上住んでいる人を対象としたアンケート調査(※)によると、築年数平均36.8年の一戸建て住宅の修繕費用の平均は約532.1万円でした。​木造住宅では平均470.2万円、鉄筋鉄骨造では平均617.7万円となっています。

主な修繕箇所と費用の目安

主な修繕箇所と費用の目安

外装(外壁・屋根)


・ 外壁:​修繕回数平均1.8回、費用合計約173.4万円

・ 屋根:​修繕回数平均1.6回、費用合計約144.5万円​


外装の修繕は再塗装や劣化部分の修復、屋根材・外壁材の張替えなどが含まれ、足場の設置費用もかかるため高額になりがちです。​劣化を放置すると耐水性が低下し、内部に影響を及ぼす可能性があるため、定期的なメンテナンスが重要です。​


水回り(トイレ・給湯器・風呂・洗面台・キッチン・給水管)


・ トイレ:​修繕回数平均1.7回、費用合計約43.2万円

・ 給湯器:​修繕回数平均1.7回、費用合計約54.1万円

・ 風呂:​修繕回数平均1.6回、費用合計約105.3万円

・ 洗面台:​修繕回数平均1.3回、費用合計約34.5万円

・ キッチン:​修繕回数平均1.3回、費用合計約115.4万円

・ 給水管:​修繕回数平均1.3回、費用合計約31.7万円​


水回りはトラブルが発生すると生活に支障が出るため、急ぎで修繕するケースが多いです。​設備の数だけ修繕箇所が増えるため、トイレや洗面台の数が多いと修繕費も上乗せになります。​


内装(壁紙・床)


・ 壁紙:​修繕回数平均1.4回、費用合計約49.6万円

・ 床:​修繕回数平均1.5回、費用合計約59.8万円​


フローリングの耐用年数は約15~20年、壁紙は約10年と意外と短いため、定期的な張替えが必要です。​生活に不便を感じにくいため後回しにしがちですが、まとめて作業を行うと効率的です。​


玄関・ベランダ・バルコニー


・ 玄関:​修繕回数平均1.3回、費用合計約44.5万円

・ ベランダ・バルコニー:​修繕回数平均1.3回、費用合計約68.6万円​


玄関は防犯・断熱性向上のためのドアの交換、タイルの貼り替えや収納の修繕、バリアフリー化などが行われます。​ベランダやバルコニーはひび割れやはがれの修復、防水性の向上、手すりの修繕などが必要です。​


床下・シロアリ対策


・ 床下:​修繕回数平均1.7回、費用合計約36.3万円

・ シロアリ関連:​修繕回数平均1.6回、費用合計約33.7万円​


床を踏むとふかふかする場合、床板を支える下地部分が腐食している可能性があります。​北海道ではシロアリ被害は少ないものの、寒さに強いタイプのシロアリが生息している地域もあるため、注意が必要です。

修繕費用の捻出方法と積立の実態

修繕費用の捻出方法と積立の実態

修繕費の捻出方法としては、「貯金から支出する」という回答が約77%と最も多く、計画的に積み立てていた人はわずか8.3%にとどまりました。他には「退職金の活用」や「借入れ」、「親族からの援助」によって対応するケースも見られます。


修繕積立をしていた人の平均積立額は月額2.5万円、総額にすると約245.3万円で、平均積立期間は14.7年でした。老後資金や教育資金と修繕費が競合してしまうことも多く、住宅の維持費用もライフプランの一部として見直す必要があります。

戸建て購入時から修繕費用を意識することが大切

戸建て購入時から修繕費用を意識することが大切

家を買うとき、多くの人が住宅ローンの返済や税金ばかりに意識が向きがちですが、実は数百万円単位の修繕費用も将来確実に必要になる費用の一部です。


そのため、戸建て住宅を購入する際には、将来的な修繕費をあらかじめ見積もっておくことが重要です。特に、ライフプランにおいては老後資金・教育資金・住宅維持費用を並行して考える必要があります。

【まとめ】修繕も含めて「家を持つ」ことを考えよう

【まとめ】修繕も含めて「家を持つ」ことを考えよう

戸建て住宅の所有は自由度の高い暮らしを実現できる一方で、管理の責任はすべて自己負担です。外壁・屋根・水回りといった各所にかかる修繕費用は、放置すると劣化を加速させ、費用が膨らむ原因にもなります。


だからこそ、「家を買う=買って終わり」ではないという認識を持ち、将来の修繕を見据えた資金計画を立てることが、安心して暮らし続けるカギになります。



※【アットホーム調査(2021年)】“新築一戸建て購入後30年以上住んでいる人に聞く「一戸建て修繕の実態」調査”

https://athome-inc.jp/news/data/questionnaire/kodate-shuuzen-202111/



2023年6月28日 執筆

2025年4月23日 更新

この記事を書いた人
小川 和哉 | ファイナンシャルプランナー

資産運用、保険、住宅ローンなど幅広い分野に精通し、個人の家計相談に加え、個人事業主や副業を行う方への記帳指導・経理支援にも力を入れており、実務に直結する実践的なアドバイスを提供。ライフスタイルに応じたオーダーメイド設計と、将来を見据えた長期的なサポートを重視し、目先の利益にとらわれない提案が好評。
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