2023.04.18
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【基礎編】住宅ローンの審査基準

家を建てる際に住宅ローンを利用する人が多いと思いますが、そのためには金融機関の審査をクリアしなければなりません。


安定した収入があったとしても住宅ローンの審査に通らないことがありますので、審査項目や注意点を事前に理解して適切な準備や対策をしておくことが大切です。

住宅ローンの審査項目とは

住宅ローンの審査項目とは

金融機関が融資を行う際に考慮する項目について、国土交通省が調査した結果があります。


なお審査項目は毎年同じであるものの、その年によって重視される割合が多少異なるようです。住宅ローンの審査をクリアするためには早い段階からこれらの項目を意識しておきましょう。



1) 完済時年齢


多くの金融機関では完済時年齢を80歳の誕生日までと定めており、返済期間35年のローンを組む場合は44歳が申し込みの上限となります。ただし金融機関によっては完済時年齢を85歳未満や76歳未満などとしているところもありますので、40歳を過ぎてから35年ローンを組みたい場合はまず最初に完済時年齢を確認しましょう。



2) 健康状態


住宅ローン契約者が返済中に死亡したり、高度障害に陥った場合に備えて、団体信用生命保険(以下、団信)への加入がほぼ必須となります。ただし保険なので既往歴等によっては加入できない場合があります。団信に申し込むには「告知書」へ記入するだけでよく、健康診断結果を提出する必要はありません。そのため「直近で手術をしたけれど黙っていればわからないのでは?」と思われるかもしれませんが、虚偽の告知で住宅ローンを契約した場合、契約者が死亡したときに住宅ローンが免除にならないというリスクがあるので絶対に止めましょう。持病があり団信への加入が難しい場合は、持病があっても加入できる団信を契約するか、団信に加入しなくても契約できる住宅ローンを選択するなどの検討をすると良いでしょう。



3) 担保評価


住宅ローンを借りてマイホームを購入したはいいけれど、何らかの理由で支払いができなくなった場合、その家を売却して返済に充てることになります。そのため「物件を売却したときの想定額」がチェックされます。特に中古物件を購入する際はポイントになるでしょう。



4) 借入時年齢


住宅ローンは一般的には20歳から契約できますが、一部の金融機関では18歳から申し込むことができます。ただあまり若すぎると収入や資産額が少ないためローン審査に通りにくい傾向にあるようです。



5) 年収


住宅ローンの審査では年収が300万円以上あることが通過の目安とされていますが、自営業や非正規雇用、勤続年数が短い場合などは収入が多くても審査に通らないことがあります。その一方で、勤務先が安定していたり勤続年数が長い場合は、年収が300万円以下でも審査に通ることがあります。



6) 勤続年数


勤続年数が1年未満だと今後も継続して収入が得られるか不明なため審査に通りにくくなります。ただし転職の場合は前後の会社の業種・規模などにより、勤続年数が1年未満でも審査への影響が少ない場合もあるようです。



7) 連帯保証


住宅ローンは通常の借り入れと異なり、基本的には連帯保証人は必要ありません。ただし、収入が安定しない雇用形態である場合や、お金を貸すにはリスクがあると判断された場合は、連帯保証人を求められる場合があります。また、夫婦間や親子間で収入を合算して住宅ローンを組んだり、ペアローンを利用する場合は、それぞれが連帯保証人になる必要があります。



 8) 金融機関の営業エリア


地方銀行の住宅ローンを申し込む場合、住居や勤務先がその銀行の営業エリア内であることが条件となる場合があります。地方銀行の住宅ローンを検討する場合は、まず営業エリアの条件をクリアしているかチェックしましょう。



9) 返済負担率


年収に対する年間の返済額の割合が返済負担率(返済比率)です。返済負担率が高いとローンの返済で家計が圧迫されます。一般的には年収の25~30%程度が無理なく支払える範囲とされており、年収300万円の人なら年間の返済額は75〜90万円以内(月々約6〜7.5万円)が目安となります。

住宅ローン審査の申込み前に信用情報の確認を

住宅ローン審査の申込み前に信用情報の確認を

信用情報とは主に債務の返済に関する情報です。住宅ローン審査では主に下記3カ所の個人信用情報取扱機関の情報を利用します。


1) 全国銀行個人情報センター

2) 株式会社シー・アイ・シー

3) 株式会社日本信用情報機構


クレジットカードやカードローン、自動車ローンの支払いが遅れたり、過去に延滞したことがあると、信用情報に傷がついて住宅ローンの審査に通らない可能性があります。傷ついた信用情報は消えるまで時間がかかるため、傷がついていることがわかっている場合は事前審査でも申し込むことは避けた方が良いでしょう。


また、消費者金融での借り入れ履歴、一部入金や代位弁済(本人以外の保証人などが支払うこと)など通常の返済と異なる履歴が信用情報に登録されている場合、審査に通るのはかなり難しくなります。延滞が続くと、信用情報に「異動」と記載され、この状態では審査に通ることはほぼありません。


自分自身の信用情報は、開示請求することで確認できます。若い頃に携帯料金や光熱費を支払わなかったことがあるなど、現在は完済していても心当たりのある人は、事前審査をする前に自分の信用情報について調べることをおすすめします。

信用情報には問題がないのに審査に通らないケース

信用情報には問題がないのに審査に通らないケース

個人信用情報取扱機関には履歴が残っていなくても、被害に遭った金融機関では過去の情報が残っていたり、一部の金融機関では官報で自己破産履歴を確認することもあるため、審査に通らない可能性があります。


また、クレジット契約が1件もない場合も不審に思われることがあります。過去にクレジットカードを持っていたけれど、支払いの延滞が重なるなど信用情報が悪化してクレジット契約が利用できなくなることがあります。このような場合、数年間クレジット契約の空白期間が生まれます。


現金払い主義でも、クレジットカードが作れるようになったら1枚作成して、少額でも使用と返済の実績を作っておくことをおすすめします。

自営業者は過度な節税に注意

自営業者は過度な節税に注意

節税のために経費計上を頑張りすぎている自営業者は注意が必要です。経費を多く計上すると所得が少なくなり納税額が少なくなりますが、住宅ローンの審査においては所得が少ないということは返済能力が低いと見なされる可能性があります。3年程度は所得金額を意識して納税をしっかりと行った上で審査に挑むことが望ましいでしょう。



今すぐマイホームを購入する予定ではない人も、これらを意識していつでも住宅ローンを組めるように準備をしておくことをおすすめします。

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