住宅ローン審査では何を見られる?年収・信用情報・自営業・他の借入をFPが整理
公 開 日:2023年04月18日
最終更新日:2026年09月11日
住宅ローンを申し込むとき、「自分の年収で審査に通る?」「転職したばかりでも大丈夫?」「自営業だと難しい?」と気になる方は多いと思います。
住宅ローンの審査は、年収だけで決まるものではありません。
年齢、収入、勤続年数、他の借入、返済履歴、健康状態、購入する住宅など、さまざまな情報をもとに金融機関が判断します。
また、審査基準はすべての金融機関で同じではありません。
ある金融機関では申し込めなかった人が、別の金融機関や住宅ローン商品では申し込めることもあります。
そのため、「年収○万円以上なら通る」「勤続○年以上なら大丈夫」と一つの数字だけで判断しないことが大切です。
この記事では、国土交通省や住宅金融支援機構、信用情報機関の公式情報をもとに、住宅ローン審査では何を確認されるのか、自分でどこを確認しておけばよいのかを整理します。
この記事でわかること
この記事でわかること
- 住宅ローン審査で確認される主な項目
- 年収はいくらあれば申し込めるのか
- 返済負担率はどのように考えるのか
- 自動車ローンやカードローンがある場合の影響
- 信用情報には何が登録されているのか
- 転職直後や勤続年数が短い場合の考え方
- 自営業者は何を確認されるのか
- 年齢や団信が住宅ローンにどう関係するのか
住宅ローン審査では何を見られる?
住宅ローン審査では何を見られる?
金融機関ごとの詳しい審査基準は公表されていませんが、国土交通省は毎年、民間金融機関へ住宅ローンの審査項目を調査しています。
令和7年度の調査では、主に次の項目が挙げられています。
- 完済時年齢 98.4%
- 借入時年齢 96.2%
- 健康状態 96.1%
- 年収 94.2%
- 勤続年数 93.9%
- 担保評価 91.0%
- 返済負担率 90.9%
- 金融機関の営業エリア 89.2%
- カードローンなど他の債務や返済履歴 72.5%
- 雇用形態 70.6%
この数字は、それぞれの項目を審査で考慮していると回答した金融機関の割合です。
どの項目をどの程度重視するかまで同じという意味ではありません。
つまり住宅ローン審査は、年収だけではなく「この人が長期間返済を続けられるか」と「融資する住宅に問題がないか」を複数の情報から判断していると考えると分かりやすいでしょう。
年収はいくらあれば住宅ローンを組める?
年収はいくらあれば住宅ローンを組める?
住宅ローン全体に共通する「最低年収○万円」という基準はありません。
最低年収を設定している金融機関もあれば、年収そのものより返済負担率などを基準にしている商品もあります。
たとえばフラット35では、最低年収そのものについて一律の制限は設けられていません。
その代わり、年収に対するすべての借入れの年間返済額を確認します。
そのため、
- 年収が高い
- 大企業に勤めている
というだけで、希望する金額を借りられるとは限りません。
反対に、年収だけを見て「自分は住宅ローンを利用できない」と判断する必要もありません。
年収だけを見るのではなく、借入希望額、他のローン、返済期間などを合わせて確認します。
返済負担率は他のローンも含めて確認される
返済負担率は他のローンも含めて確認される
住宅ローン審査で重要になる数字の一つが「返済負担率」です。
返済負担率とは、年収に対して年間のローン返済額がどのくらいあるかを見るものです。
たとえば2026年4月現在のフラット35では、すべての借入れを合わせた総返済負担率について、
- 年収400万円未満:30%以下
- 年収400万円以上:35%以下
という基準があります。
ただし、この30%や35%は、「この金額まで住宅ローンを借りても家計に無理がない」という意味ではありません。
住宅ローン審査上の基準と、実際の家計で無理なく返せる住宅予算は別です。
教育費、車、住宅の修繕、老後資金、資産運用なども考えながら、自分たちが住宅に使ってよい金額を決める必要があります。
他の借入がある場合はどうなる?
他の借入がある場合はどうなる?
返済負担率で確認されるのは、新しく借りる住宅ローンだけではありません。
たとえばフラット35では、
- 現在返済している住宅ローン
- 自動車ローン
- 教育ローン
- カードローン
- クレジットカードのキャッシング
- 商品の分割払い
- リボ払い
なども年間返済額に含まれます。
そのため、同じ年収の人でも、他の借入残高や毎月の返済額によって住宅ローンの審査結果や借入可能額が変わることがあります。
住宅ローンを申し込む前には、「何を借りているか」だけでなく「毎月いくら返しているか」まで一覧にしておくと分かりやすくなります。
使っていないクレジットカードのキャッシング枠などをどのように扱うかは金融機関によって異なります。
一律に「枠があるだけで審査に不利」と考えるのではなく、申込先へ確認しましょう。
信用情報では何を確認される?
信用情報では何を確認される?
住宅ローン審査では、信用情報も重要です。
信用情報には、ローンやクレジットの契約内容、残高、支払状況、延滞などの情報が登録されています。
主な信用情報機関には、
- 全国銀行個人信用情報センター
- CIC(シー・アイ・シー)
- JICC(日本信用情報機構)
があります。
金融機関や保証会社によって、どの信用情報機関を利用するかは異なります。
たとえば全国銀行個人信用情報センターでは、ローンやクレジットカードなどについて、契約内容だけでなく、入金の有無、延滞、代位弁済などの返済状況も登録されています。
CICやJICCでも、ローン・クレジットの契約内容や残高、支払状況などを確認できます。
なお、信用情報機関が「住宅ローンを通す・通さない」を決めているわけではありません。
登録されている情報を参考に、最終的には各金融機関が自社の基準で審査します。
そのため、支払いの遅れがあるから必ず住宅ローンを利用できない、という単純なものでもありません。
過去のローンやクレジットについて登録内容が気になる場合は、本人が信用情報の開示を申し込むこともできます。
ただし、信用情報機関ごとに登録されている情報が異なるため、必要に応じてそれぞれ確認します。
参考:
CIC|情報開示とは
参考:
JICC|信用情報の開示
勤続年数が短い・転職したばかりでも申し込める?
勤続年数が短い・転職したばかりでも申し込める?
国土交通省の令和7年度調査では、93.9%の金融機関が勤続年数を審査項目として挙げています。
ただし、必要な勤続年数は金融機関によって違います。
「勤続1年以上」を基準にしている金融機関は多いものの、それがすべての住宅ローンに共通する条件ではありません。
たとえばフラット35では、最近転職した人でも申込みができることが案内されています。
転職したばかりだからといって、住宅購入を一定期間待たなければならないとは限りません。
一方で、
- 転職後の収入をどのように計算するか
- 前職と現在の仕事の関係
- 雇用形態
- 今後も収入が継続すると考えられるか
などを金融機関が確認することがあります。
転職後何年待つかを先に決めるのではなく、利用したい住宅ローンの条件を確認する方が確実です。
自営業者の住宅ローン審査では何を見る?
自営業者の住宅ローン審査では何を見る?
個人事業主や自営業者の場合も、住宅ローンの審査基準は金融機関ごとに異なります。
たとえばフラット35では、共通して必要となる収入関係書類として、原則、借入申込年の前年と前々年の公的収入証明書が案内されています。
給与所得だけではない方については、納税証明書や確定申告書の写しなどを使用します。
ここで会社員と大きく違うのが「年収」の見方です。
会社員は給与収入を確認しますが、自営業者など給与収入だけではない人について、フラット35では事業所得などの所得金額を基準にします。
つまり、
売上が1,000万円あるから、住宅ローン上の年収も1,000万円として見られるわけではありません。
売上から必要経費などを差し引いた後の所得が、住宅ローンの審査では重要になります。
そのため住宅購入を考えている自営業者は、
- 直近の申告所得はいくらか
- 何年分の書類が必要か
- 事業の借入があるか
- 税金の納付状況
- 希望する住宅ローンではどの所得を使うか
を早めに確認しておくとよいでしょう。
必要書類や何年分の実績を見るかは金融機関によって異なるため、申込先の条件を確認します。
年齢と完済時年齢も審査に関係する
年齢と完済時年齢も審査に関係する
住宅ローンでは、現在の年齢だけでなく、何歳で完済する予定なのかも確認されます。
国土交通省の令和7年度調査では、完済時年齢を審査項目としている金融機関は98.4%でした。
具体的な年齢条件は住宅ローンによって異なります。
たとえば2026年4月現在のフラット35では、原則として申込時の年齢が満70歳未満であることが条件です。
借入期間については、原則、
- 「80歳-申込時年齢」
- 35年
のどちらか短い方が上限になります。
年齢が上がるほど選択できる返済期間が短くなり、その結果、同じ借入額でも毎月の返済額が高くなることがあります。
そのため、年齢は単に「申し込めるかどうか」だけでなく、借入額や毎月の返済額にも関係します。
健康状態と団体信用生命保険
健康状態と団体信用生命保険
健康状態も住宅ローンで確認されることが多い項目です。
国土交通省の令和7年度調査では、96.1%の金融機関が健康状態を審査項目として挙げています。
これは、多くの住宅ローンで団体信用生命保険(団信)への加入が関係するためです。
団信では健康状態について告知が必要となり、内容によって加入できないことがあります。
ただし、健康状態に問題があるから住宅ローンを利用できないと決まっているわけではありません。
住宅ローンによっては、
- 通常とは加入条件の異なる団信を選べる
- 団信の内容が複数用意されている
- 団信に加入しなくても利用できる
ものがあります。
たとえばフラット35は、健康上の理由などで団信に加入しない場合でも利用できます。
持病がある場合は、住宅購入を諦める前に、利用できる住宅ローンや団信の選択肢を確認することが大切です。
購入する住宅そのものも審査される
購入する住宅そのものも審査される
住宅ローン審査では、借りる人だけを見ているわけではありません。
国土交通省の調査では、91.0%の金融機関が担保評価を審査項目として挙げています。
住宅ローンでは、購入する土地や建物に金融機関の抵当権を設定するのが一般的です。
そのため、
- 購入価格
- 物件の担保評価
- 住宅ローン商品の対象になる住宅か
なども確認されます。
本人の収入や信用情報に問題がなくても、購入する住宅の条件によって希望する金額まで借りられないことがあります。
特に中古住宅や一般的ではない権利関係の物件などでは、物件を決める前に住宅ローンを利用できるか確認しておくとよいでしょう。
住宅ローン審査に通らなかったら?
住宅ローン審査に通らなかったら?
住宅ローンの審査に通らなかったからといって、信用情報に問題があったとは限りません。
金融機関は、
- 年収
- 借入希望額
- 他の借入
- 返済負担率
- 年齢
- 勤続年数や雇用形態
- 信用情報
- 健康状態や団信
- 購入する住宅
などを総合して判断しています。
信用情報機関へ本人開示をしても、「なぜ住宅ローン審査に落ちたのか」まで分かるわけではありません。
全国銀行個人信用情報センターも、金融機関はそれぞれの審査基準に基づいて総合的に判断しており、信用情報機関では審査結果の理由は分からないと案内しています。
そのため、一つの金融機関で希望どおりにならなかった場合は、まず自分の状況を整理します。
そのうえで、
- 借入希望額を見直す
- 他の借入を整理する
- 別の住宅ローン商品を検討する
- 別の金融機関へ相談する
といった方法を考えます。
金融機関によって審査基準が違うため、一つの結果だけで住宅ローン全体が利用できないと判断する必要はありません。
申込み前に確認しておきたいこと
申込み前に確認しておきたいこと
住宅ローンの事前審査を申し込む前に、次の内容を確認してみましょう。
- 前年の年収・所得はいくらか
- 現在返済しているローンは何があるか
- 毎月の返済額はいくらか
- 住宅ローンを加えた返済負担率はどのくらいか
- 勤続年数や転職時期
- 自営業なら必要な確定申告書・納税証明書がそろうか
- 過去のローン・クレジットの支払いで気になることはないか
- 団信への加入で確認したい健康状態があるか
- 購入する物件が住宅ローンの対象になるか
そして、もう一つ確認したいのが、「審査に通る金額」と「自分たちが借りてよい金額」は同じではないということです。
金融機関から借りられる金額が分かっても、それをそのまま住宅予算にする必要はありません。
住宅購入後の生活費、教育費、修繕費、車、老後資金、資産運用まで考えたうえで、実際に借りる金額を決めましょう。
Mクリニックで相談できること
Mクリニックで相談できること
Mクリニックは札幌を拠点に、家計、保険、住宅ローン、教育費、老後資金、資産運用など、暮らしと将来に関わるお金を横断して相談できるFP相談窓口です。
住宅ローンについては、審査に通すためだけの相談ではなく、住宅購入後の家計まで含めて整理します。
たとえば、
- 自分の年収でどのくらいの住宅ローンを検討できるか知りたい
- 自動車ローンなど他の借入がある
- 転職したばかりで住宅ローンを利用できるか確認したい
- 自営業でどの書類や所得を確認すればよいか知りたい
- 信用情報について気になることがある
- 持病があり団信が心配
- 金融機関から提示された借入可能額で家計に無理がないか確認したい
といった相談ができます。
住宅ローンの審査基準と、家計として無理なく返せる住宅予算は分けて考えます。
住宅購入後も教育費や資産形成を続けられるよう、借入額、返済期間、金利、団信などを家計全体から確認します。
札幌を拠点にしていますが、全国を対象にオンラインでの相談にも対応しています。
まとめ|住宅ローン審査は一つの基準だけでは決まらない
まとめ|住宅ローン審査は一つの基準だけでは決まらない
住宅ローン審査では、年収だけを確認しているわけではありません。
金融機関は、
- 年齢・完済時年齢
- 年収・所得
- 返済負担率
- 他の借入
- 勤続年数・雇用形態
- 信用情報
- 健康状態・団信
- 購入する住宅
などを合わせて判断します。
そして、それぞれの基準は金融機関や住宅ローン商品によって違います。
「年収○万円以上」「勤続○年以上」「自営業なら○年必要」といった一つの数字だけで、自分が利用できるかどうかを判断する必要はありません。
まず自分の収入、借入、返済履歴、勤務状況などを整理し、利用したい住宅ローンの条件を確認しましょう。
そのうえで大切なのは、審査で借りられる金額ではなく、自分たちが無理なく返し続けられる金額を借りることです。
2023年4月18日 執筆
2025年4月23日 更新
2026年9月5日 更新
